◆2004 No.1◆


「ITUインターナショナル天草大会報告書」
6月20日(日)

 台風接近中の九州!大形との天気予報に心配していたが、熊本の天草はムシムシした灼熱の猛暑の中、20回記念大会が盛大に開催された。

スイムは男子がスタートし、その後20分に女子が続く。私はアウトコー スから飛び出した。スタートは外国人選手に挟まれていたので、小判ザ メ泳法を使い、かなり接近して泳いだ。この作戦が成功!
インにいた選手より高位地を確保。しかしペースが速すぎて外国人には 着いて行けない。その後は近くにいた集団で泳ぎ、少し余裕を持ちなが らスイムを終えた。

バイクはフラットの往復コース。集団に成りやすいコースと知っていた ので、スイムを集団で終えれば、バイクで大集団になる事を予想。 案の定、私達の集団は前をドンドン吸収し、折り返して暫くし、先頭ま でも吸収した。ここ迄くるとラン勝負の展開!

バイクのペースはそんなに上がらないが、足のある選手(私)を集団か らちぎる為に、何度か仕掛けられていたのが分かった。でも、全く問題 無く、集団のままで、バイクフィニッシュ地点へと向かった。 最後の大きな坂を登り、下って直ぐがトランジッションエリア。私は先 頭でバイクを終え、着替えも一番早かった。

ランスタート!今回の顔ぶれの中では、かなり自信があった。何処で勝 負しようかなぁ〜!余裕はあった。
前回のレースは和歌山で優勝した、 上田選手(若手急成長の選手)が2番手だ。ランの始めに追いつかれて しまったが、かなり息が荒かった。私はどこで勝負しようかな?と思い つつ、暫く一緒に走った。
坂を登り、下り坂に差し掛かった頃には、少 し離れていたので、じわーっとペースを上げた。

ここは2km地点。勝負は決まったかな?とほぼ優勝を確信していた。
あとの8kmは、自分の練習をしよう!と目標を切り替えた。
実は今度、陸上のトラックレース10000mに参加するので、この練習を兼 ねて走ろう!と必死にもがいて、かなりきつかった。

灼熱の太陽がジリジリと照り付ける。暑い!早くゴールしたい!と言う 気持ちと、この暑さから解放させて欲しい!の気持ちから、きついけど、 ぺースをキープしながら走っていた。

余裕で優勝なのに、「後ろは全く見えないよ!」との声にも耳をかさず、 自分の練習に集中していた。
ゴール近く、トラックに入ってからは少し 気が楽になった。応援してくれるみんなが、精一杯の声援で迎えてくれ ていた。その声援にこたえながら、インターナショナルレースを初優勝 出来、最高のシャンパンシャワーを浴びる事が出来た。

地元人の優勝との事で、翌日の熊日新聞には一面で掲載!一面に載ると は夢にも思わなかったので、少しは親孝行出来たのかな?と嬉しかった。


「長崎大島トライアスロン大会レポート」
2004年7月4日 長崎大島トライアスロン大会が行われた。
この大会は2連覇中だが、初めて優勝した時はデュアスロン。
2回目の優勝のときは海が荒れ、スイムを短縮したレースであった。

今回はどうだろう?とりあえず台風が近づいているとは言っても、快晴・・・
でもどうやら明日レレースの時に直撃するかも・・・という話も聞いた。

主催者サイドでは「池形が参加するようになってから、ろくに正規の距離でレースをしたことがない」とかなんとかいってるかも・・・

さて、レース当日、台風が近づいている為、海が荒れている。もちろんスイム短縮。レースが中止にならずに実施されるだけでもラッキー!という考えに切替えた。こんなこと言っちゃなんだが、俺といってはスイムが短縮になってもあまりパフォーマンスに大差ない。若干2位との差が代わる程度だ。

スイム
ドラフティングレースではない場合の、350mスイムのどこを頑張ればいいのか分からないが、つかれないように、怪我をしないように努めた。特にマークしている選手はいないが、誰がどこで泳いでいることを把握しながら泳いだ。スイムゴールは集団になっており、入賞圏内の選手はほぼ同時にゴールした。

バイク
このコースの特性で、バイクで決定的な差が生まれると勝負が決まる。
もちろん爆走!1周20キロを2周回、1周目途中で2位に2分の差をあけているのが分かった。単純に考えてバイク終了時に5分程度の差を開けることとなる。
ここで3連覇を確信した。

ところが、2周目に入り、チェーンが外れた。プロとしてはあるまじきミス。
しかも急いではめられない。落ち着いてはめたが、なんとチェーンがよじれているではないか!しかもバイクを倒した時に、リアディレーラーまで曲がってしまったのか、変速をしても全く入らなくなってしまった。つまり登りも下りもずっとガチャガチャして、どこにも入らないのだ。。。正直焦った、勝利を確信した後だけに。

とりあえず無理やりゴリ押ししてバイクゴール。5分差どころか1分差まで詰め寄られた。

ラン
あまり練習が間に合っていないランではあるが、1分後の宮崎選手、1分半後の津々見選手のランの力を知っているだけに、賭けにでらずイーブンペースで走った。そのままきっちり走ってゴール。バイク中盤からは、ハラハラしながらの3連覇を飾った。

インカレ予選という事もあり、学生達の成績も気になっていた。
チーム所属の選手達5名全員がインカレ権利獲得で嬉しい限りだった。


「長崎大島トライアスロン報告☆」
TRIATHLON TEAM VIKING/福岡教育大学トライアスロン部

日時 7月4日 9:00スタート

天気 曇りのち強風・大雨

 全日本インカレ予選となるこの大会。九州学生女子の部で2位までになれば、全カレ出場だ。今までの2レースとは異なり、結果が大事になってくる。練習も、抜くときにはしっかり抜き、メリハリのあるメニューで、疲れをとって、レースに臨んだ。

 大会前日、台風が来ているということで、デュアスロンになるとか、スイムが短くなるとか、最悪、中止になるとか・・・いろいろ危ぶまれていた。私はというと、これまでの緊張していた2レースとは違って、かなり落ち着いていたと思う。無駄な緊張もなく、夜も、しっかり眠れ、とてもいい状態であった。3度目ということで、そろそろ大会に慣れてきたのか。

 当日朝は、少し曇っていて、少し風が吹いているという感じではあったが、まさか、レース中、前が見えないような大雨、バイクでハンドルを取られそうになる強風になるとは・・・

《レース概要》

◎スイム・・・波が高いため、距離が短縮され、350mスイムになった。スイムが遅い私にとっては、ちょっとラッキーな展開。スタート直後のぶつかり合いは、いつも通りであったが、今回は、そこでひるまず進めた。息継ぎのときに、前を見ることが出来るようになり、コースを外れることなく、ブイ目指して泳ぐことが出来た。しかし、この時点でトップとは2分差以上もあいていた。

◎バイク・・・一周20kmを2周の周回コース。アップダウンあり、急カーブありの気が抜けないコースだ。登りの練習を中心にやってきたので、登りではこげるのだが、平地では全くといっていいほど踏み込めていなかった。明らかに脚力不足であった。2周目の登りの途中で、チェーンが外れてしまった。何とか直して、再スタート。こんなの言い訳にもならないと、ここから気持ちに火がついた。

◎ラン・・・ランに入ったとき、応援の声で九州学生女子2位ということを知った。このまま走れば全カレだ。落ち着いて走ろう。バイクで踏み込めなかった分、足の疲れがなく、軽い足取りでランスタート。このとき、とても気持ちがわくわくしていた。今までにないような気持ちだった。走っているとき、とても楽しく、自然と笑みがこぼれてくるような・・・トライアスロンをしていること、レースに出ていること、走っていること、ただ、そういうことに単純に幸せを感じた。また、今回は、時計をせずにレースに臨んだので、自分がどれくらいのラップで走っているのかわからなかったが、それがここではプラスに働いたのかもしれない。

◎記録

 総合  2時間19分10秒
 スイム 11分15秒
 バイク 1時間22分38秒
 ラン  45分17秒
 九州学生女子の部2位

《レースを終えて》
 全カレ出場権を、武友・梶原とともにとれて、一安心。
レース全体的に、追い込めてなく、不完全燃焼のまま終わってしまったというのが、終わった後の気持ちである。競技者として、勝ちたいという強い思いが、まだ、今の自分には足りないのだと思う。

全カレ出場にあたっては、もっとスイムを強くしないと、戦えない。さらに、アップダウンのあまりないバイクコースなので、脚力をつけ、平地での踏み込み、速い回転の練習をしなければ。そして、ランの強化。
つまりは、全部まだまだ力不足ということだ。あと2ヶ月、やるべきことはたくさんある。必要なことを見極め、さまざまな場面で得たことを自分のものになるようしっかり吸収していこう。

 応援、本当にありがとうございました。3種目すべて、まだまだ伸びるので、これからの成長を見ていてください。


「☆暑かった〜天草☆」
大会名 第20回天草国際トライアスロン記念大会

日時  6月20日(日) 9:00スタート

天気  晴れ 

 トライアスロンを始めて1ヵ月半。スイム、バイク、ランの3種目の練習にも、大分慣れてきた。
トライアスロンのレース経験を積み、大会に慣れることを目的として参加したこの大会。結果を出すことよりも、一つの通過点と位置づけてレースに臨んだ。

 大会当日、5時に起床し、軽いjogで1次アップ終了。
台風が来ると心配していた天気だが、青空が広がり、海の波もさほど高くない。天気予報の気温は35℃。暑くなりそうなので、バイクには給水ボトルを2本装備。出場受付で、右腕、左足にレースナンバー135をマジックで記入してもらう。

 9:00スイムスタート。
ほぼ毎日のようにプールに通い、練習を積んだことで、前回より、落ち着いてスタートできた。
今回は、直線375mを2往復のコースで、コースからそれる心配もなかった。1週目は、他の選手とぶつかることを恐れて消極的になってしまったものの、2週目は、気を取り直し、のびのびと泳げた。

 トランジットで、自分のバイクの位置がわからないというアクシデント。見つけることが出来たが、少々のタイムロスをしてしまった。
バイクスタート、ただ、ひたすらペダルを踏む。海沿いを片道20kmの往復コース。
行きは追い風だったので、スピードも上がり、いい調子。復路に入ると、予想してなかった、向かい風。往路が追い風なら、復路が向かい風なんて当たり前なのだが、ここは経験不足に知恵不足。向かい風に負けないよう、バイクをこぐが、スピードが上がらない。
強い日差しに、背中がじりじりダメージを受けている。2本のボトルの給水も残り5kmくらいで底を尽きる。それでも、一般の部の総合3位以内を目指して、気合でバイク終了。

 ラン、足はまだまだ走れそうなのに、暑さで息が苦しい。1.6kmごとくらいにある給水所を求めて走る。給水所がオアシスのよう。一度にたくさん飲んではいけないのに、体に水をかけ、さらに、がぶがぶ飲んでしまう。
まさに自爆行為なのだが、あの暑さの中、集中力に欠けていた。ここで、メンタル面の弱さが出てしまった。完走めざし、走り続ける。民家に面した道で、たくさんの地元の人たちの声援を受けながら、何とかゴール・・・

記録 2時間42分42秒
 SWIM 28分58秒
 BIKE 1時間17分51秒
 RUN 55分53秒
女子総合 8位 
年齢区分 20-24歳女子 第2位

 今回の大会で、エリート選手のゴールシーンを目の前で見て、スピードのある、力強い走りに感銘を受けた。
1度や2度の完走では、味わえない、まだまだ、何か、見えない何かが、トライアスロンにあるんだろうなと思う。その何かを見つけられるように、日々、歩んでいこう。

   これからの、レーススケジュール、レースレポートなど、TRIATHLON TEAM VIKINGのHPをご参照ください。
TRIATHLON TEAM VIKING 皆様の応援にいつも励まされています。
これからも、頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。


「トライアスロン初挑戦☆報告」
大会名 虹ノ松原トライアスロン大会in唐津

日時  5月30日 8時スタート

天気  曇時々雨  水温21℃

 トライアスロンを始めて約1ヶ月。泳ぎもいまだにぎこちない。
チーム合同のバイク練習では100kmを2回こなしただけ。
陸上競技はかつて経験しており、練習はスイムとバイク中心の1ヶ月だった。

 大会前日は、楽しみと緊張が入り混じった、なんともいいようのない気持ちだった。
何度も荷物の確認をし、とりあえず、レースでいるものだけあれば何とかなると、 ウェットスーツ、水着、スイムキャップ、ゴーグル、バイク、バイクシューズ、ヘルメット、サングラス、給水ボトル、ランシューズ、キャップ、を最終確認。

大会当日。

目標記録  総合 2時間34分

       スイム(1.5km) 29’

       バイク(40km) 80’

       ラン (10km) 45’


入水チェック後、少し海に入ってみると、その冷たさに驚いた。
後で聞くといつもこれくらいだという話であったが・・・

スタート直前に、石森さんに、ストレッチで緊張をときほぐしてもらい、何とか落ち 着いてスタート。
750m2周のコース。海での競争というのは初めてだった。
まず、人との接触。参加者の少ない大会ではあったが、みんな、平気でぶつかってくる。どうしようもなく、とりあえず泳ぐ。
14分で1周目を終え、2周目へ。ふと気が緩んで、気付くと集団から外れている。それどころか、会場で安全のために待機しているライフ セーバーの人に呼び止められた。何かと思ったら、なんと、反対方向へ泳いでいるではないか。
これではゴールが遠ざかるばかり。
とんだロスをしてしまったと思いながらも、池形さんから教わったキック、プル、息継ぎのフォームに気をつけながら、何とか完泳。29’59”

トランジションエリアでは、アクシデントなく無事バイクスタート。
片道4kmの折り返しコース。
とにかく、前に前に・・・時速35km付近を維持し、ひたすらこぎ続ける。
折り返しがうまくなく、かなり減速しないと回れない。バイクに装着している給水ボトルで時々給水しながら、順位とか時間のことは全く考えず、こいでいた。
足は結構疲労がきていたが、後のランは、何とかなるだろうと考えていた。
折り返し地点では、チームのメンバーとルームメイトの敦子が応援してくれていて、スピードを最後まで維持できた。
最後の周回で、陽子さんが、今、女子3位と教えてくれた。これ以上落とせない。76’04”

ランに入ったとたん、天気がよくなりすぎて、強い日差しが出てきた。
走り始めて、足の状態がいつも走るときと明らかに違うことに気付いた。
何とかなるのか、何とかしなければ・・・バイクで使いすぎたのか、棒のようになった足を、jogより遅いペースで運びながら、目標を45’から完走に切り替え走り始める。
すべてのエイドステーションで、給水しながら進んだが、体表がすぐ乾き、思った以上に給水が必要だった。
折り返し地点を過ぎると、それまでの体がうそのように急に軽くなった。
足取りが軽くなり、前を走る選手が見る見る大きくなる。もうすぐゴール。
最後まで全力で!!ラスト100m全然スピードが出ないが、気持ちだけでもスパート。47’16”

総合タイム 2時間33分19秒(女子3位)

デビュー戦、何よりも、完走できたことが、うれしかった。大きな安心感があった。
この大会を通して見つけた自分の弱点、学んだトライアスロンの技術など、これからの自分を成長させる上で必要なものはすべて吸収して、自分のものにしていきたいと思う。

指導、サポート、そして応援してくださった、VIKINGのみんな、友達、先生、家族、 みんなに感謝しています。本当にありがとうございました。
次は、6月20日に、天草でトライアスロンの大会に出る予定です。
今後とも、よろしくお願いします。


TRIATHLON TEAM VIKING所属

加藤 友子


「はじめてのアイアンマン」
by 野崎 卓朗
in 長崎県五島福江市
2004年5月23日
夢だったアイアンマン出場が、いつの間にか目標となり、気がつけば現実となっていた。

ロングはおろか、ショートの大会にさえあまり出場したことのない自分にとって、とりあえず分からないことだらけだった。
特に補給食に関しての知識は皆無に等しく、エイドもたくさんあるしレースに持ちこまなくてもどうにかなるだろう、と、今思うと恐ろしいくらい安易に考えてきた。
もちろん、今まで、補給食をレース中に摂った経験もない。
レース会場となる福江島に向かう船の中でVIKIGのメンバーの話を聞き、現地入りしてから慌てて補給食を購入した。
メンバーに聞きまわり、結局CARBOSHOTZというジェル状の補給食を2箱買い、バイクとランに持って行く事にした。

大会二日前の午前中に現地入りした当初は、福江島の美しい景観の中で、普段の生活からの開放感にひたっていたが、トライアスリートだらけの福江市内で補給食の準備や登録、競技説明会などに出席したり、スイム会場で試泳したりするうちに不安と緊張が高まっていった。

そして、大会当日。
朝3:00起床。朝食をホテルの食堂で摂るが、用意されたおにぎりをぺろりとたいらげ、おかわりをすると、食堂のおばちゃんの顔が少しくもる。
そして、未だ暗い中をバスに乗りスタート地点に向かう。

明るくなり始めたスイム会場では、大漁旗が掲げられた竹が今にも折れそうなほど、風が吹いていた。不安な気持ちがこみ上げてくる。
ナンバリングなどを済ませ、バイクの最終確認をして、ウエットスーツを身につけ、いよいよ朝陽に照らされる海に向かう。

逆光で黒く映る選手が映画の一場面のようで、その中に自分がいることを少し誇らしく思った。
しかし、そんなことを考えることができたのは一瞬で、やはり5月の海は冷たく、腰まで浸かって、すぐに水から上がってスタート直前まで待機。

フローティングスタートなのでアップはスタート地点に向かいながらできると思い、体力を温存する。そして、まわりの選手の動きに合わせてスタート地点に向かう。
はじめは冷たく感じた水も泳ぎ出すと次第に慣れてきた。

スタートの合図は聞こえなかったが、まわりが一斉に泳ぎ出したので、自分も泳ぎだす。
3.8Kmを泳ぐのに最短距離を泳ごうとブイの近くを泳ぐが、考えることは皆同じようで、バトルが続く。しかも、波が強くなかなか前に進まない。

やっとのことで折り返しが来るが、同じコースを二周するため、まだ、1/4でしかない。
しかし、あまり使ってないはずの膝が痛み出す。原因も対処法もわからず、この後のバイク・ランが不安になった。とりあえず、ウェットの浮力を利用して、プル中心で前に進む。
スイム中は前に行っても後ろに行ってもバトルが続いたが、どうにかスイムフィニッシュ。
時計を見ると1時間12分半くらいで、目標にしていた1時間10分は達成できなかったが、まだまだレースはここから。

 トランジットは無事に済み、バイクに移る。
前に人がいて、距離が詰まると、ドラフティングを取られる気がしてすぐに抜く。その勢いのまま進むと、すぐまた追いつくので、また抜く。
レース前に志郎さんや他のメンバーに前半は抑えたほうが良いと言われた気がするが、どんどんスピードにのる。
15kmくらい過ぎから少し自重するが、20kmくらいの登りで、太郎さんに抜かれ、たくさんの沿道の応援にも後押しされたこともあり、自然にスピードが上がる。

25kmくらいで初めての補給食を摂るが、上手く開封できず、べっとりとCARBOSHOTZが手につき、ハンドルがべとつく。ボトルの水をかけるが、今度はすべる。何度かこすって乾かした。
しばらくは血糖値を保てるだろうと思い、エイドで水分と同時に1/2バナナを摂り、補給食は、後半に使おうと考えた。

60km過ぎに、バイクコース最高点まで登りに入る。普段VIKINGの練習コースを走っているせいか、気持ちよく登れた。
しかし、下りで、ふくらはぎに「Y」とナンバリングされた、女子のプロ選手に抜かれ、あっという間に見えなくなった。
今回、普段練習で使っているホイールではなく、レース用のホイールで、レースに臨んでいたため、ブレーキのかかり具合が感覚的に、つかめておらず、コーナーでのコースアウトや落車の恐怖があって、せっかくの下りで、コーナー手前での必要以上に減速し、上手く攻めることができなかった。

70km手前の折り返しコースに入るとすぐに、志郎さんとすれ違う。まだまだ、いけると思いながら折り返すが、その感覚は追い風によるものだったらしく、折り返し後、向かい風に苦しめられる。
だんだん腰が痛くなり、ときどき、臀部から太腿にかけての筋肉がつる感じがしてきた。
ギアを一枚軽くして、回転数を増やして、乳酸を散らそうと考えたが、あまり回転数が上がらない。
前傾姿勢が保つのがきつくて、DHバーのひじ置きを持って走ること多くなってきた。

ようやく、バイクコースの山場である、3回通る3km続く長い登りを含む周回コースに差し掛かる。
エイドの手前でCARBOSHOTZを摂り、エイドで水をもらい、いよいよ、一回目の3kmの登りに挑む。確かにきついが、大きなうちわで応援してくれる人がいたりして、案外、楽に登りきった。あとは、二回これを登れば良いのかと思うと、少し余裕が気持ちに余裕が出てきた。

さっきCARBOSHOTZを摂ったせいか、体の方も回復してきた気がした。それまでの疲れは、血糖値低下によるものだと思い、積極的にCARBOSHOTZを摂ろうと思った。
しかし、心と体にあった余裕も、あっという間に消え去った。
3kmの登りの後は、軽いアップダウンが続くものとばかり考えていたが、甘かった。
次々と登りがやってくる。むしろ、3kmの登りは意識していた分、楽に感じるほどである。

どんどん体も動かなくなってきて、どうにか進むのがやっと、下りは、あしは全く使わず、空気抵抗を減らして進んだ。
2回目、3回目と3kmの登りを大うちわの風に後押しされて、どうにか制覇。あとは残り20km弱をランコースに向けて走るだけだと思ったら、また登り。
バイクフィニッシュの少し手前でもまた登りがあって、ようやくバイクフィニッシュ。タイムは目に入らず、そのまま、ランへ。

 ランに入ると、1kmも走らないうちに、右足の中心部にまめができ、5kmを過ぎた辺りで、右足の親指のつめが痛み出した。恐らく、前日の夜に、つめを深く切りすぎたためだと思う。
それでも、途中から、同じペースで走る選手がいて、互いに引っ張りながら、快調に走れた。

二周まわる周回コースに出ると、後ろから足音が聞こえ、肩に何かがぶつかる。「良いぞ、このまま頑張れ」と声をかけてくれたのは、二周目を走る池形さんだった。
なんかうれしくなって、頑張れそうな気がしてきた。

少しずつ離れていく池形さんの背後から、勢いよく迫る人影があり、すっと池形さんを抜いていく。悔しかった。そして、気がつくと少しずつ池形さんの後ろ姿が大きくなり始め、今度は自分が池形さんに追いついた。
快調に走れている嬉しさもあったが、「池形さん、しっかりしてくれよ」と心の中でつぶやき、無言で抜いた。
同じペースで走れる選手がいたお陰もあって、16.5km過ぎまでは快調に走っていたが、このままだったら絶対に持たないと思い、ペースを落とすと、自分でもびっくりするくらい、足が動かなくなった。

再び池形さんに追いつかれる。「ピッチ上げろ」と言われ、ピッチをあげると少しスピードにのれた気がしたが、重くなった足はなかなか言うことを聞いてくれない。
すぐにスピードが落ちる。もう池形さんの背中は小さくなっていた。

そこからは、歩かないでゴールすること、それだけを考えて走った。
ペースが遅いため、1km毎にある看板がなかなか見えてこない。しかも、小さなアップダウンが重い足をさらに重くする。
約1.5km毎にあるエイドを目標に走る。 遠い。
しかし、歩いたら負けてしまう気がしたし、沿道には地元の人がたくさんいて、力強い応援で歩かせてくれない。

少しずつ陽が低くなってきた。あと少し、しかしそのあと少しが、遠い。

かすかに、遠くで、スピーカーの音が聞こえた。『あと600m』の看板が見えた。とうとうここまでやってきた。
福江城の門をくぐり、たくさんの人とハイタッチし、FINISH!!
今まで味わった事のない、感動。 言葉にして表現するのがもったいないような、感動。

I am a IRONMAN。

完走できたこと、それだけの気持ちじゃない。決して自分一人じゃできなかった、大会関係者、ずっと応援してくれた地元の人達、VIKINGの仲間、大学の先輩や仲間、たくさんの人達がいたからこそ、味わえる感動。
感謝しても感謝しきれないと思う。

 日付が変わって、5月24日。実は、この日は21回目の誕生日。その瞬間は、VIKINGの皆で行った、定食屋で迎えた。みんなに祝ってもらった。きっと忘れられない誕生日になるだろう。

ホテルに帰って、一眠りして、朝には、船に乗って帰路についた。
夜、アワードパーティーで自分がエイジ5位で表彰されたとメールがきた。
IRONMANになれたこと、それだけで満足だったけど、表彰されてしまった。素敵な誕生日プレゼントだ。

 ロングディスタンストライアスロンの魅力に完璧にはまった、そんな気がする。
来年もまた出たい。たくさん練習して、もっともっと強くなって、そして、今度はハワイにも…。


「2004 IRONMAN JAPAN」
by 酒見 晋悟
in 長崎県五島福江市
2004年5月23日
 今回初めてのロング挑戦、自分の中で二つの課題があった。
ひとつはランを歩かないこと。
もうひとつは故障していた膝をケアしてくれた人達の励ましの気持ちに応えること。
何回もこの気持ちを思い出しては気力に変えた。

レースはというとスイムは少し遅い位置であがった。
メイストームのウェットスーツはかなり良く、キックは全く打たずにいけた。
あがった時はいつものような体の重さを感じなかった。
バイクに移るとすぐに前田さんに抜かれたが、頑張らない、 と言い聞かせて抑えていった、つもりがメーターは40kmを表示。さすがにやばいと思いギアを落とした。

50km辺りからは頑張るなと言い聞かせ、70kmの折り返しで志郎と4分差、後ろに小湊さん10分差で位置を確認、少しあせったがペースを上げようとは思わなかった。
120kmくらいまで前に一人ターゲットにしながら行くも残りを考えて十分もつと確信し、スピードをあげる。
バイクを終えた時は集中力はみなぎっていた。

ランに入って空港の折り返しで後ろからくるはずの三人とすれ違わず、抜かれるまでペースを落とさないようにと目標を決め、10kmを目安に走る。
この時km5分切るペース。20kmまでペースは維持できた。
ここで欲を出さずkm5分半に後半のペースを変更。

さすがに怪我で練習出来てないつけがここらでジワジワきた。しかし絶対に怪我のせいにしたくはなかったし、ランは話にならないタイムだろうという周りの予想をくつがえしたかった、ランが弱いと思ってる人を見返したかった、そうゆう一心だけで頑張った。

しかし30kmを過ぎると痛みがついに出始め、1kmを半分走る半分歩くといった状態になってしまった。
そこまでは同じカテゴリーの一人に抜かれただけだったのでひょっとしたらと思ったが、それより同じチームの人に負けたくないという気持ちのほうが強かった。

35kmから40kmまでで女子選手に五人抜かれたときも歯がゆさ、悔しさで一杯だった。
最後の4kmは我慢して走ったがスピードはないのも同然という感じだった。
ゴールのときはいろんな想いがこみ上げてきた。
正直この結果は今の自分には上出来です。

人を突き動かすもの、それは何かに対する想いだと身を持ってわかった気がします。
人に勝ちたいという欲が他人と比べて足りない分、自分の掲げたことに何がなんでも妥協しない、いわば自分に克つ、プラス反骨精神で臨んだほうが自分はいいのかもしれません。

しかしまたまだ満足はしていません。
来年はあのコースで1時間短縮をめざします。
課題は山積みです。バイキングとしてさらなる バイクのレベルアップを図ります!


photo by 岩佐一安さん☆

●2004年5月23日 夢叶う。
by 山根 昌樹

in 鹿児島県指宿
2004年5月23日

僕の幼い頃の夢は『いつかはトライアスロン!』
僕の故郷である広島県は、当時毎年トライアスロンが行われてた。
すっげぇかっこえ〜!!
この一言でした。

そのトライアスロンをやるきっかけは自己紹介の欄にある通りです。

レース前、前日、更に前から、僕は緊張していました。
ほんとドキドキでワクワクはちょっとだけでした。

レース会場の雰囲気にのまれそうでしたが、
バタバタして入水チェック終わったらスタート3分前。
ドタバタで緊張はほぐれました。

人生初のトライアスロン。夢のトライアスロン。スタートです。
スイムは混乱をさけ自分のペースで行くことにしました。
しかし、波や潮の流れでうまく泳げません。
何回も今居る位置を確かめながら泳ぎました。
でもパニックになることなく37分でスイム終了。
まぁ、初めてじゃしこんなもんかなぁ。

次にバイクです。乗るのは実に1ヶ月振り。
かなりの練習不足ですが、VIKINGの一員として抜かれるだけではダメです。
周回コースのため、早い人には抜かされましたが、
同一周回の人にはあまり抜かれてないと思います。
逆に結構抜いたかなぁ・・・。意外に踏めました。
2時間2分でバイク終了。バイクは1時間25分でした。

最終種目のランに突入!
走り出した途端、足にきました。前に進めません。
なんとか歩くまいと頑張ったのですが、折り返して歩いてしまいました。
何人にも抜かされ、かなり悔しかったです。
応援してくれてる人を裏切るような気がして、
自分がすごく情けなかったです。

しかし、149位でなんとかゴールできました!
幼い頃の夢が叶う瞬間は、密かにジィ〜ンときました。

かなりデビューが遅れましたが、アドバイスしてくれた方や、
チームのみなさま、ありがとうございました。

これからは、VIKINGの一員として恥ずかしくないレースをします。
もっともっと練習が必要と感じたデビュー戦でした。

以上
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