午前3時頃に起床。3時半頃朝食をとる。弁当を支給されたが揚げ物が多いせいかどうも食が進まない。
朝食後、スイムスタートの富江海水浴場へバスで向かう。天候はくもりですこし肌寒い。日中は雨予報で
あるのでバイクが心配だ。水温が19度と低いが、去年とうって変わって大きな波がないので今年は安心
だ。 まず、会場につくとすぐに同宿の人にナンバリングをしてもらうが、そのとき「あなたは書きやすい」と
いうコメントをいただいたので体調に不安がなかった。
ちなみにレース前の選手の肌とナンバリングのしやすさが、その時の選手の体調のバロメーターになっ
ているそうだ。
そこで今年の目標は総合14時間以内での完走!ずばり去年の記録(14時間52分)を約1時間縮める
ことである。
スタート30分前からウォーミングアップをするが、フルジョンのウェットスーツを着ていることもあり今年は
去年みたいに極端な水温の冷たさを感じず、沖に出ると少し温かく感じる。
まずは砂浜から200mの所にあるスタートラインまで泳ぐ。自分はスタートラインより少し後ろ側で待機す
る。
午前7時、スタート。まずは1周目。目標タイムは40分以内。
いつものようにインコースを泳ぐ。去年のこの大会以来、海で泳いでいない上、今回はスイムの練習量が
少なかったのでなかなかリズムがつかめない。その上、ウェットスーツの肩の部分がきつく感じるせいかな
んとなくぎこちない。
いつものように、インコースを泳ぐがずっとバトルに悩みっぱなしだ、脚はつかまれるは息継ぎのときには
頭を押さえつけられる。
1周目折り返しにさしかかると水温が少し温かく感じるようになる。帰りはうねりが強く、息継ぎをする時に
かなり海水を飲んだ。
やがて、1周目を終える。タイムを見るとなんと、40分。すこし、ピッチを上げなくてはと思う。
2周目になると、1周目より距離が長く感じる上に他の選手からぼろぼろ抜かれる。もっとピッチを上げなく
てはと思ってもスピードが出ない。もともとスイムは得意ではないが今回ほど、気持ちと体がかみ合わない
ものはなかった。海水もだいぶ飲んで、のどや鼻がヒリヒリする。
やがて、陸にあがる。タイムは昨年のしけの海とはより約4分しか変わらない。もうそろそろ、スイムの練
習法を再考する時期がきたようだ。
スイムラップ 1:36:28 (814位)
ウェットスーツを脱いでバイクの準備をする。もう、バイクもまばらである。
バイクコースは相変わらずアップダウンの富んだものでしんどい。したがって、この日に備えて2月にバイクを
新調した。今回は何が何でも、前回よりバイクラップを短縮したいものである。
初めの40kmぐらいまでは、身体が冷えているせいかどうもペダリングが今ひとつ、ぎこちない。
しだいに応援が増える。やがて島の南西部にさしかかるとなんとか身体が温まり、ようやくスピードがでるよう
になる。
そのころ折り返し地点に向かう。この頃まではコースは平坦で下り坂が多いので、快調に走る。またこの辺
の景色は海沿いで優雅に魚釣りをしているおやじも見かける、彼らにとって自転車に乗っている選手がどのよ
うにうつったのだろうか?
83km地点のスペシャルニーズエリアでは後半用の捕食を受け取る。そこで先のこと考えて、下車し3分ほ
どクリームパンをかじる。
やがて、アイアンマンジャパンバイクコースのハイライトである、島の北西部2周回コースにさしかかる。そ
の時、3kmほどの連続した坂を3回通る。
まずは1回目。去年はこの坂で苦戦したが、今年はバイクを買い替えたおかげで少しはスムーズに上れる。
もうすでに、上位選手とはラップされている。彼らは2周目になるが脚色は衰えない。そこには地元の巨大うち
わ応援団そして、この大会のスターターを務めた松岡修造さんが大声で声援してくれた。やがて、トップのロ
タ・レダー選手に抜かれる。(なんと3周目!)涼しい顔をしてペダルを廻し、かなり人間離れした走りをしたの
で唖然とした。
周回コースではアップダウンおよび向かい風の連続だが、そこは全バイクコースの約40%を占めるのでバ
イクラップを縮めるには他の大会以上に坂および向かい風対策が不可欠となる。
しかし、今年は天候がくもりで涼しいので去年よりレースがしやすい。しばらくの間、天気予報通り小雨が降
るがレースに影響するようなものではなかったのでよかった。去年より坂も無難にこなし、平地では時速40km
前後のスピードが出せた。しかし依然、上り坂と向かい風が苦手であることは変わらない。コースの途中に見
える高浜海水浴場は絶景あり、毎年この海岸を見るとほっとする。
2回目の3kmほどの連続した坂を上る。去年はそこで膝を傷めたが今年は全く、痛みを感じない。そこで去
年のバイクラップ更新を確信する。
しかし、2周目の周回コースに入るを急にペースが落ち、前の選手を抜くのがしんどくなる。残った捕食を摂ろ
うしてもどうも口に合わない。今まで、甘いものばかり摂りすぎたので食欲がなくなったのである。
やがて、べダルに力が入らなくなり、ハンガーノックぎみになったので、最後に残った「power gel」を無理や
り口の中にいれる。レモンライムフレバーだったので口当たりもよかった。しばらくしてスピードが出るようになる。
3回目の連続の坂も無難にのぼることができた。去年よりわずかながら自分の成長を確認できた。
坂を抜けたころに完全に息を吹き返した。今年はどうにか、制限時間より1時間ぐらい前に余裕でバイクフィニ
ッシュできそうだ。やがて、バイクフィニッシュの五島中央公園が見える。すでにランを行っている選手とすれ違う。
通常、バイクフィニッシュ直前では次のランに備えて、無理をせずスピードを落すものだが、今年は直前になって
も最後までしっかり走ることができた。
バイクラップ 7:28:46 (704位)
トランジッションエリアのテント内では他の選手でいっぱいである。着替えを機敏に行い、テントを出る。
さあ、いよいよ長い42kmの旅が始まる。目標はずばり4時間台での完走!
まずは2・3kmほどトランジットのある、五島中央公園の周りを走る。めちゃ脚が軽い!今まで、バイク
からランに移った直後、脚がまわらないものだが、今年は珍しくマラソン大会と同じ感覚で走ることができ
る。本当にバイクパートで摂った「power gel」はよく利く!トライアスロンのラン(ロング)では通常、初め
の5kmは30分以上かかるものだが、今回はなんと27分ぐらいであったぐらい脚に負担がかかっていな
かった。前で走っている選手を次々とパスしていく。
このランコースはバイクコースほどではないものの、だらっとしたアップダウンが多い。この日に備えて、
3月に「秋吉台カルストマラソン」という起伏に富んだハーフマラソン大会に出場したことが、功を奏した。
10km地点過ぎても未だ快走である。昨年はこの地点で膝を痛めたが今年はそのような様子がない。
これでかなり余裕で完走できることを確信した。
しばらくして、池形君と志郎が歩いているのを見かけた。彼らに事情を聞くと、2人ともバイクでのトラブル
が原因でランでつぶれてしまったそうだ。しかし、2人ともレースを投げないで完走だけはしっかりしてほし
いと願いながら2人を後にする。
21km地点のラップは2時間8分。「かなり、早いペースだ。」と、安心したとたんペースがガクンと落ち
た。キロ7分ペースに落ちてしまった。
24km地点のスペシャルニーズエリアで捕食およびTシャツを受け取る。まずは道の脇にある大きな石に
座り、ゆっくり捕食を食べる。そして夜は寒くなるので予め用意したTシャツを身に着ける。その間、5分ぐら
いたったのだろうか。スペシャルニーズエリアをあとにしてランを再開しようとすると、今までの緊張が糸が
プツンと切れ、どうもペースが上がらない。この頃になると、あたりが暗くなり孤独感を感じる。しかし、この
頃からエイドでは温かいスープやお茶も振舞われたのがうれしい。
30km地点では足もぱったり止まる。去年はこの時「リタイア」まで考えなければならなかったほどの大苦
戦だったが、今年はかなりの余裕がある。さすがに脚の痛みも少しあるが、まだまだ走ることができる。
40km地点にさしかかると、五島高校(フィニッシュ地点)が見えてくる。今年も他の選手が続々と完走し、
BGMがガンガンかかり、観客の声援がすごく、いかにも華やかな場所である。「早く、あの場に行きたい」
という一心で自分の全体力を使って前に進む。「あと、600m」の大看板は今年も健在で、観客の声援も大
きくなる。五島高校に入ると観客の声援が一層大きくなる。花道では大きく腕を上げて、声援に答えながら
テープを切る。
ついに4大会目のロング完走。そして2年連続アイアンマンの称号を得た瞬間だ。長い長い一日が終わっ
た。総合タイムは13時間54分38秒。なんと前回の記録(14時間52分39秒)より58分ほど短縮した。
ランラップも5時間切ったのでよかった。
ランラップ 4:49:24 (517位)
総合13時間54分38秒 (653位)
レース後色んな人から握手を求められ、それに応じる。シャワーを浴び、フィニッシュ地点に行くとバイキングの
メンバーの人が待っていた。みんな完走したようでなによりだ。ランで会った池形君と志郎も無事完走していた。
彼らとレースの話をずっとしていた最中、制限時間ぎりぎりで多田さんがゴールした。バイキングの参加者全員
完走である。さすが、つわもの揃いの集団だと関心する。レース終了後、みんなで記念撮影をして宿にもどる。
すぐに風呂に入って、ベッドに横たわる。
5月19日(月)
この日はレースの興奮で一睡も出来なかった。朝食後、昨日使用したバイクを取り行く。そこには写真屋さんのテ
ントがならび、早くも昨日のレースの写真ができていた。自分のレースナンバーを告げ、その番号のかかれた封筒の
なかに自分の写真が入っており、全部気に入ったので買ってしまった。
宿にもどりバイクを分解し、手続きをする。帰りに完走証書およびリザルトを受け取りに行き、午前中フェリーにのっ
て福岡へ帰る。
船中はずっと横になってリザルト読んでいるか、同行者と反省会兼飲み会をやってすごした。
夕方、博多埠頭に到着して、帰路に着く。
あとがき
今回、2回目のアイアンマンジャパンに挑戦したが、これまでの中で最もレースがしやすかった。実際に完走率が
90%を越していたし、知り合いの中でリタイヤしたという話もほとんど聞いていない。前回、膝の故障で苦戦したの
がうそのようである。さらにいえば、今回に限って帰宅した翌日になっても身体のダメージが全くといっていいほどな
かった。
もう今や自分の中で、「アイアンマンジャパン」という大会は不可欠なものになってしまった。したがって、再度挑戦
する時はさらにパワーアップして前年を大幅に上回るタイムで完走したいものである。
最後にこの大会を支えたスタッフおよびボランティアのみなさん、そして、トライアスロンをやっている仲間たちなど
みなさんのおかげで2度目のアイアンマンになれました。この場を借りてお礼を申し上げます。
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